ブルックリン美術館
Brooklin Museum of Art (1893-1915)
by マッキム・ミード&ホワイト (McKim, Mead, and White)


壮大なスケールによる冷厳な幾何学による配置。理性への信頼。しかし部分的にしか建たなかった
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この美術館、正面はカッコいいが後ろがひどい。 1890年代にマッキム・ミード&ホワイト(のマッキム)が設計したときは 非常に大きい美術館を構想したのだが、 大きすぎて全部作る予算がなくて、 取りあえず正面だけ時間をかけて作ったのだ。 で、うしろ側はその後フタをするようなつまらない増築をされたりして、 見るも無残な姿のまま残った(写真6、7)。

その正面も、いま何か工事中で、全然いい写真が撮れなかった。、 それでも正面のギリシアオーダー、破風、その奥のドームは良く見える。 マッキム・ミード&ホワイトの作品でドームのあるこのような構成は、 コロンビア大学図書館が有名である。 今回の旅では見に行けなくて大変残念に思っていた。 だから代わりにじっくり見た。

マッキム案では、正面のこの建物の幅で正方形を作る予定だった。 つまりうんと奥行きを取るという事だ。 そしてその四隅には、みな同じように、 いま正面両脇に見えている小さな正方形部分(写真5)が来る予定だった。 壮大なスケールでの幾何学的・法則的配置であり、これは古典的な理性への信頼であると言われた。

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正面が詳細まで含め一望できたら(工事中でなかったなら)、 各部の調和が見て取れてたいへん美しかったろうと想像する。 少なくともドームとオーダー部分は見る事ができた。 ドームは下から見上げることを見込んでわざと少し高く作ってある。 マッキムの小さな作品と比べれば、装飾・彫刻のスケールが遥かに大きい。 スケール感が違う。 いずれにしても、全体を見直しに、またそのうち出直して来なければなるまい。

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ご覧頂いている写真1、2では、 正面のギリシアオーダーの下に変な古代エジプト人の顔が書いて貼ってあって、 これで建物が隠されて全体像が掴みにくくなっている。 中が工事中なのかもしれないが、貼る絵にセンスがないと思う。 美的に傷のある美術館の建物にいたら、センスまで悪くなったのではないか。

最後に、この建物は磯崎新等の案による増築が行われた(行われる?)そうなのだが、 外部から見た限りではどこの事なのかよく分からなかった。 増築によりマッキム設計部分も亦息を吹き返すような良い案があって欲しいが、 美術館の裏手を実際見たかぎりでは、その希望はまだ全然実現されていない。


[交通アクセス]
地下鉄2,3号線で、Eastern Parkway-Brooklyn Museum駅で降りるとすぐ。







[参考]
  • 「アメリカ様式建築の華」小林克弘著、丸善


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