チェルシーマーケットに見る既存施設の再生利用




チェルシーマーケットは、古い倉庫を商店として再生利用した商店街です。 どんな感じの空間が出来たか、見に行きました。 場所はチェルシーの南西、比較的港に近いところです(9th Ave, 15-16st.の間, 西側)。 昔は船荷を一時保存するのに使われていたのでしょう。

倉庫の壁は赤レンガですが、 剥き出しの赤レンガがそのまま露出している訳ではなく、写真でご覧の通り、 やや白(クリーム)っぽく着色してあるようです。


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通路の一部はトタンの波板のような屋根になっています。 これは、もともとあったものを白ペンキで塗ってあるのだと思います。 このように、もともと倉庫内にあった通路をうまく利用しています。 あと、何か現代的なオブジェを配置して景色を整えている部分がありました(写真2など)。

通った感じとしては、そうですねぇ、 もっと古い倉庫の感じが残っても良かったかなぁと思います。 剥き出しの煉瓦の壁を生かす位の、思い切った古さの活用を図って欲しかったです。 そうすると、本当に、どこへ来たのか分からない様な面白い空間になったと思います。


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それでもこの商店街は、単に新しく作っただけの商店街に入るのとは違う、面白い感じを確かに持っています。 商店というのは、やっぱり、きれいで新しく清潔そうなイメージを求めますから、 それを考えると、古いものを元にこれだけのイメージを作ったことは、 倉庫の再生利用として妥当な線だったのかもしれません。

私は「もっと古い倉庫の感じが残っても良かった」と述べましたけれど、 古い感じをうまく生かすというのは、商店街の場合、両刃のやいばなのだと思います。 古い感じを残すと、失敗して古臭くてキタナく見えてしまう可能性があるし、 商店は新しく清潔なイメージを求めるし、その辺の兼合いですね。

古さでは不満足も感じましたけど、 しかしこの商店街の場合、サイン計画とか新しいオブジェの置き方なんかは関心しました。 さりげないサインと、 何となくその場にそぐう「納得性」の感じられるデザインの置物や装飾が随所にあって、 単に古いものを再生したというよりも、古いものをインスピレーションで再創造した、 という感じが出ています。 やっぱり、そう考えると、商店街としては上手な再生利用の仕方をしていると言うべきでしょう。

いまどき、古い施設を単に取り壊す事はどんどん考えられなくなってきています。 古いものの持つ雰囲気を生かすという意味でも、環境問題という意味でも、 破壊でなく再生を模索することが今求められています。 それは日本でもNYでも同じことだと思います。 特に私は京都に住んでいる関係上、その事を強く意識します。 チェルシー・マーケットは、古い倉庫をうまく生かした成功例と言えましょう。





  
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