ワン・リバティ・プラザ 1 Liberty Plaza (1970(頃)) by SOM (スキッドモア、オウイングス&メリル) (SOM)
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このビル、H型鋼で組んだみたいな見せ方面白いヮと思われる方もいらっしゃるかも知れないが、 別にその為にここに載せた訳ではない。 このHPにこれを載せた理由はただ一つ、 これがアーネスト・フラッグが1908に建てた巨大なシンガービル(160m) をぶっ壊して建ったビルだからである。 シンガービルはかなり奇態な(!?)ビルだったらしく、 異様なものが大好きな私としては是非見たかったのであったが、 1970年に経済効率を優先させて「再開発」されてしまったのだ (それにしても160mのビルを街中でどうやってぶっ壊したんだろう?)。 ちなみに、この幻のシンガービルに関して、お便りを下さったかたが絵はがきの画像を分けてくださった → シンガービルの絵はがき。
当時はまだ今みたいに古い建築を保存・保護する風潮が確立されてなくて、 他にも1963年にマッキム・ミード&ホワイトのペンシルヴァニア駅があっけなく壊されている。
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ただ当時の状況として、単に経済優先であったとか、 現在のNPOみたいに公共を見守る目が出来ていなかったとか、 そういう事だけじゃなくて、モダニズムの流行も一役買っていたのが残念だと思う。 つまり、モダニズムというのはそれ以前の考え方ややり方ではダメだという点を非常に強調する運動だった。 コルビュジェの論法を見ると、 古臭い居住形態や過去のものとなった観念に縛りつけられている人が執拗に攻撃されている。
新しい人類と建築の可能性は、機械時代を真正に受け止めて、 コルビュジェの言うような「人間的境地」に立つ人があらわれ、 それが古い人々をいかに手っ取り早く一掃するかにかかっているような書き方である。 そういったものを真に受けたモダニストが、 どんどん新しい建物を作るとともに、 過去のものの価値を殆ど認めないし壊されようが何とも思わない、 という風潮を増大させていったのだ。 同じ建築家によって疎外されたこれらの壊された建物は浮かばれないと思う。
最後に蛇足をひとつ。このワン・リバティ・プラザの南側には木がしょぼしょぼ生えた空地がある。 これはこの建物の敷地の一部であり、この公開空地を設けることによって、建物は容積率を上乗せしている。
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[参考]
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