旧RCAヴィクタービル
RCA Victor Building (1931)
by クロス&クロス (Cross & Cross)


当時普及し始めた電波をイメージさせる頂部。アールデコ調
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ビル全体に装飾が多く、アールデコ調の饒舌なデザインである。 ゾーニング法に従ったセットバックをしている。 後から整理するとこれは色々見た中でも外装デザインがとても面白いものの一つであり、 内部も是非見るべきであった。 しかし急いでいて見ずに来てしまった。大変残念。

こういう装飾が施されているビルは、周りにある種の雰囲気を発散している。 古いビルはみなそれぞれ何かを発散している。 それに比べ、モダニストの作ったビルは後で見たとき一体何を発散しているように見えるだろうか?。 レヴァーハウス の痛んだ現状を見るにつれ、 モダニズムのビルが後に残すものは痛んでくたびれた姿だけなのではないだろうかと、 いぶかしく思ってしまう

・・・きっとモダニズムのビルは、 痛んだ後に改修・廃棄・建直しされたりする事までデザインに取込まれているのだ。 機能主義と言うからには機能が果てたら使い捨てって事だ・・・。 いや、失礼失礼、話をもどそう。 旧RCAビクタービルはアールデコを今に伝える楽しい外装で、 今回の旅でのお気に入りのビルの一つであった。 外装のディテールがかなり凝っている事が、写真2を拡大するとお分かりになるだろう。

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「ニューヨーク摩天楼都市の建築を巡る」に、 このビルの頂上の、自由の女神の頭のイバラみたいなゴチャゴチャが大きく載っていた。 これは当時、電波を表わしたものだそうだが、 アールデコでは電波をギザギザ模様で表わす事が結構あったらしい。

その集大成というか親玉みたいなものが、このビルの頂上に載っているのだが、 下界から見上げたら、遠くに僅かに見えるだけだった(見出し写真をクリックして拡大すると少しだけ見える)。 しかし遠目に見ても何かツンツンしていて、ほほえましく見えた。 あの頂上は恐らく他のビルの高層階から眺めてもらう為のものなのだろう。

後でAIAの建物ガイドを見ると、このビルはその南隣のビルとコンテキストを合わせるようにして 作られたという(景観を合わせるという発想がまだ無かった時代に)。 南隣のビル自体もう増築されているから、今でもそれがうまく分かるかどうか不明だが、 これから見に行く人は、そういう面も見て来て欲しい。






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[参考]
  • 「ニューヨーク摩天楼都市の建築を巡る」小林克弘著、丸善
  • "AIA GUIDE TO NEW YORK CITY", Three Rivers Press, 2000


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