センチュリークラブ
Century Club (1889-91)
by マッキム・ミード&ホワイト (McKim, Mead, and White)


軽快かつ洗練された古典様式。都市をかざる風景。小品としてのまとまり
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この実物を見る前にあらかじめ建物の立面図を見ていたのだが、 図面をみた限りでは大変整った美しい小品のように見えていた。 しかし実物の印象はかなり違った。 石の表面の仕上げが三層構成に分かれていて、その二層目の石表面に穿たれた細かな模様が、 やけにわずらわしく感じられた(写真4を拡大すると見える)。

また、三層目のピラスター(付け柱。見出し、写真3参照)の幅は図面でみたときより大きくて、 プロポーションが狂って感じられた。 その図面を、「アメリカ様式建築の華」より写真1に載せるので比較されたい。 ピラスターの幅は違っていたし、 石表面の表情は写真や図面だけ見ていても絶対分からないものであった。

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2  拡大
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3  拡大
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細部の装飾は確かに手が込んでいて、深みを感じさせる。 しかし何か、こう言っては失礼だが、全体にどこか「軽薄」ないし「趣味悪」的な感じがする。 その為に、この辺り一帯に他にもある歴史様式を参照したビル群から ひときわ抜きんでた純粋さのようなものが感じられず、 他のビルに埋没してしまっているような気がしたのだった。 旅立つ前に写真・立面図を見た段階では、もっとも期待していた作品の一つであった。 それだけに残念であった。 図面や写真だけ見たほうが、 意図していたであろう純粋美や幻想性の表現がむしろよく見て取れるのではないかと思う。

ユニバーシティ・クラブ の項でセンチュリークラブとユニバーシティクラブの印象的類似性について論じているので、 よろしかったらそちらもご覧頂きたい。






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[参考]
  • 「アメリカ様式建築の華」小林克弘著、丸善


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