シティーホール(旧市庁舎)
City Hall (1803-1813)
by ジョセフ・F・マンガン (Joseph-Francois Mangin)


竣工当時流行っていた堅固な印象のジョージアンとフランス風ルネサンスを組みあわせた
当初は正面のみ大理石だった
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通常、観光ガイドでニューヨーク市庁舎と言うとこれを指す。 シティ・ホールの名で親しまれている。 堅固な四角い印象のジョージアンと、 優雅ですっきりと整ったフランス風ルネサンスを組みあわせたデザインだという (現場で見るとすっきり整った感じがするし、写真で見ると堅固な四角い印象がする)。 何か田舎的というか素朴で訥々(とつとつ)とした印象がある。

四角く堅苦しく見えるディテールがジョージアンなら、 規則正しいオーダー(円柱)やオーダー型のピラスター(壁と一体化した柱)は優美に見えるから、 フレンチルネサンスという事だろう。 オーダーの様式がフロア毎にちゃんと変えてあるのが御愛嬌である。 窓の上がアーチになっていたりする、あの造作はどっちだろうか。 ちょっと詳しくないので分からない。

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この庁舎は1811年のニューヨーク計画、 すなわちマンハッタン全体をグリッドで覆い尽くすという計画にほぼ合わせて作られた。 そしてこの場所は当時の市街地の外れ(北端)だった為に、 正面(南側)だけ大理石で丹念に作られたという (今は石灰岩に置き換えられている)。 グリッドで覆い尽くす計画があったのなら、北側もこれからは重要になるわけで、 360度奇麗に作ったほうが市のビジョンに合っていた気がするが、 そうは作られなかったようだ。

ところで、この中央正面2Fの円柱と窓の表現、何かに似てはいないか。 そう、ソーホーのカーストアイアンビル( ホーワウトビル 参照)である。 勿論シティーホールが似たわけではなく、 カーストアイアンビルがシティーホール的な表現をしたわけだ。 着想の面で何か関係があったのかどうかよく分からないが、とにかく非常によく似ている。






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[参考]
  • 「ニューヨーク摩天楼都市の建築を巡る」小林克弘著、丸善


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