パーク・アヴェニュー・ビル
2 Park Avenue Building (1927)
by イライ・ジャック・カーン (Ely J. Kahn (1884-1972))


ゾーニング法に沿った単純なセットバックと幾何学パターン装飾が独特の建築表現となる
788.H.gif



このビルは エンパイア・ステートビル から東にすぐの所にある。 パッと見ただけで変わったビルだなあと思った。 遠目に見ても色が黄色っぽいのですぐ分かる。 竣工は1927年で、1920年代といえばゾーニング法に適合したセットバックしたビルの意匠が、 いろいろ試みられていた時代だ。 このビルの場合、セットバックはとても単純なのだけれど、頂部にかけての外壁の意匠が凝っている。 あと、エントランス(外側)に面白い天井画がある(写真6)。

785.gif
1
796.gif
2
797.gif
3  拡大


この、外壁頂部にかけてのものすごい幾何学模様は、最初どうしてもアールデコに見えなかった。 マヤだか何だか知らないが、古代を参照しているような感じがした。 すごく他のビルのデザインの流れから外れたビルに見えてしまった。 特徴的な色と模様が何をアピールしているのか、分からずに困った。 結局分からずに帰ってきてしまった。

しかし後になって分かった。このビルこそは、アールデコそのものなのだ。 写真で見たほうがよく分かるかもしれない。 金色や青、緑、紫、赤、などの角張ったテラコッタで装飾しているその形、模様を そのままうんと小さくして図案化したと想像してみて欲しい。 何に見えますか?。そう、アールデコの図案なのだ(確かにマヤの影響はあるかもしれない)。 だからこのビルは、アールデコそのものなのだ。

791.gif
4  拡大
792.gif
5
793.gif
6  拡大


しかし、こんな大きなスケールで「図案」をやられると、 スケール感覚が全然合わなくて、およそアールデコに見えなかったのだ。 もう全く何か他のものだと思ってしまった。 悪いけど、これは私の趣味じゃない。 このビルは、一般的な気品とか美しさにはちょっと合わない何かを発散している気がしてしょうがない。 まぁそれは、折角のテラコッタの金色がくすんでしまって、 色が悪くなっているからそう見えるだけかも知れないが・・。






_map.gif

より広域を表示する


  
   2001-2006 Copyright. All rights reserved
トップページを表示 top.gif