トリニティ教会
Trinity Church (1846)
by リチャード・アップジョン (Richard Upjohn)


ゴシック・リヴァイヴァルの初期例。85mの塔は19c末までNY最高だった
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古めかしい教会が、ここ金融街のど真ん中に建っている。 もともとニューヨークはここロウアーマンハッタンから開拓され始めたわけで、 開拓の中心には多くの教会があった。 その中でも中心的なウォール街に面して、ここに教会が建てられたのは独立戦争より前の事である。 恐らく非常に古い時期からあったのだろう。 それが1846年に建替えられて現在に至っている。 当時はやり始めていたゴシック・リバイバルに基づいて建てられているが、 この約10年後に着工した セントパトリック教会 (1858-)と比べれば、いかにも素朴に感じられる。

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今ではこの教会と隣の墓地の周りに、高層ビルが取り囲むように建っている。 しかし1858年の絵を見ると、周囲がだいたい5階建てで、 この教会の尖塔がひときわ高く聳えていた。 尖塔は85mある。かなり高いのだ。 それなのに周囲の方がもっとずっと高いから負けてしまっているところが、 何ともマンハッタンである。 かつて教会が作っていた宗教的やすらぎを暗示する景観なんて、まったく吹っ飛んでしまっている。 街の目印にはなっていても、景観的には右隣の墓地と共に取り残された存在である (写真2を拡大すると右下に墓地が僅かに見えている)。 これからも取り残されたまま保存され続けてゆくのだろう。

ちなみに、設計者のアップジョンはアメリカ建築学会(the American Institute of Architects) の創設者でもある。






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[参考]
  • 「ニューヨーク摩天楼都市の建築を巡る」小林克弘著、丸善


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