シティコープセンター Citicorp Center (1976-1978) by ヒュー・スタビンズ&アソシエイト (Hugh Stubbins & Associate)
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一目見るなり、これはダイナミックだと感心するビルである。 ふつうビルに足を付けるなら角に付けると発想してしまうと思うんだけど、 このビルでは辺の中央に足を付けている。 不安定にならないかと心配してしまうが、 風圧による揺れにはこれが有利なのだそうだ。 足4本でビルの基底部を浮かせる事により、 下に大きな空間を作ってそこをアトリウムのように公共空間にしている。
この空間の公共性こそが、ビルを足で浮かせた狙い、或は少なくとも口実である。 実際には足の下の空間には低層ビルが這うように回っていた。 その屋上(つまりビルの足の下)に普通の人が簡単に出られるかどうか、確かめるのを忘れてしまった。 足元の空間の公共性(人が自由に入れるか)は不明だけど、 まぁそれでも、このように足で浮かせて大空間を作り、 その周辺に低層諸施設(ショッピング、教会、広場など)を配したら、 大きな足と架構が見えて空間の魅力みたいなものは出ている。
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ビルの東側は低層のショッピングセンターが建っている。 ショッピングセンターの中の吹抜けには、ビルの東側の「足」がニョキっと立っていて、 何だかご本尊が奉ってあるようだ(写真6)。 ちなみにこのショッピング街、ひと気が少なくて場末にならなきゃいいがな、 と他人事ながら心配してしまった。 それから足元にある西北隅の小さな独立した建物は教会で、 このビルの敷地にもともとあった教会が新しくなったものである。
このビルの頂部は斜め45度に切落した形になっているが、 景観的にこのあたりのランドマークとなるように目論まれている。 太陽光を集める装置を付けると言っていたらしいが、実際は何も付かなかったそうだ。
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これが建った1970年中頃というと、 ワンUNプラザ が1976年、 ワールドトレードセンター が1977竣工である。 モダニズムが流れとして健在な一方、 C・ジェンクスの「ポストモダニズムの建築言語」が1977年に発刊され、 ポストモダニズムが脚光を浴び始めている。 ワンUNプラザやこのビルは、 それまでのモダニズムより自由な発想でビルのあり方の可能性を拡げようとした。 これらは当時のパイオニア精神や批評精神が、 そのまま形になったようなビルと言えると思う。
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