メトライフタワー
Met Life Tower (1909(土台10階部分は1893。塔部分が1909))
by ナポレオン・ルブラン父子 (Napolean LeBrun & Sons)


タワーを建てるという「発明」により当時人気の的となり、建築としても新たな意味を帯びた
ヴェニスのサンマルコ広場の塔を模した。当時のビルの高さを塗り替えた
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見に行ったら改装中だったので、まともに見られなかった。 一目見て諦めてしまったので、そんなに詳しくは見ていない。 ただ、パッと見た印象としては、このビルはすごくやわらかい印象のビルだった。 よく見えないから違うかもしれないけれど、 外装がやさしいソフトな感じで、竣工当時からただ単に高いだけではなく、 塔としての美しさも十分兼ね備えていたと思われる。 但しバーナムのフラットアイアンビルのような装飾を重ね塗りしたような重厚感ではなく、 シンプルで肌がきれいな女性のようなイメージであるような気がする。

1908にアーネスト・フラッグのシンガービルが建っているが(現存せず)、 これはかなり装飾にも凝っていたようだ。 当時の有名なビルは、それぞれに違う印象のものだったろうと想像する。 (この幻のシンガービルに関して、 お便りを下さった方が絵はがきの画像を分けてくださった → シンガービルの絵はがき。)

まァもっと言えば、 フラットアイアンビル (1902)もメトライフタワー(1909)も エクイタブルビル (1915)も、 みんな肌がきれいな女性的感じを多少なりと持っている。 それは同じような質の石で外装されていたからだろう。 なまめかしくさえ感じる。 当時のビルは、石の肌の美しさを十分に周りに伝えていたのだ。

ただしある資料によるとメトライフタワーは、 limestone cladding (originally marble) と書いてあった。もともと大理石で今は石灰石というわけで、 竣工当時まとっていた石と今の石は、どうも違うようである。

ちなみに、このビルを見に行ったとき、その左にあるビルがきれいで気になっていたのだが、 これはロックフェラーセンターの検討に加わっていたH.W.コーベットの作ったビルだそうだ。 モダンさの探究による多角形型の平面と、あと、四隅のエントランススペースが特徴的らしい。 「錯乱のニューヨーク」にはコーベットの話も詳しく載っているが、 都市に対する提案も色々していた人のようだ。






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