エクイタブルビル
Equitable Building (1915)
by E.R.グレアム (Ernest R. Graham)


竣工当時最も多くのオフィスを収容して脅威的存在となった双頭のビル。過密を加速した
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NYに旅立つ前、このビルが残存しているかどうかについて何も情報がなかったので、 これを見つけた時はことのほか嬉しかった。 1920年以前、 あるいはゾーニング法施行(1916)以前のマンハッタンの高層ビルというのはそう多くはない。 フラットアイアンビル (1902)、 メトライフタワー (1909)、 ウールワースビル (1913)、 そしてこのエクイタブルビル(1915)といったところである。

これらのビルをそれ以降と比較すると、  1. まだゾーニング法による形態へのバイアスを受けていない、  2. アールデコ調がはやる以前で古い装飾的な意匠が生きていた時代である、 という事が言えよう。 また敷地の上方拡大(高層化して賃貸オフィススペースを沢山取る事)に関しては、 19世紀の終わりからこの頃、そしてこの後にかけて常にエスカレートしていった。 その途上である(この時代を第一次高層化とも呼ぶ)。

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それぞれの特徴を挙げるとするならば、 フラットアイアンビルは高層オフィスビルの威力を見せつけたと同時に、 街路のアイストップとして独特の意匠を施し話題となった。 メトライフタワーは塔というメタファーを高層ビルに持込んだ。 ウールワースビルはゴシック様式をビル意匠に持込んだ。 ではエクイタブルビルの特徴は?・・・、これは恐らく「商売の鬼」である。

敷地一杯にビルを建てて、周囲の日照条件その他の問題をちゃんと考えてない。 窓を沢山開けてオフィス価値を高めるために2塔方式にした。 羊羹型で39階まで一杯にスペースを確保した。 当時このビルは賃貸スペースをあまりに沢山作ったので脅威的存在と見られたという。 またこのビルを見たニューヨーク市当局を慌てさせ、ゾーニング法成立を早めたと言われている。

とまあ言うわけだけれど、実際見て感じたのは美しい!、という事だった。 装飾を身にまといつつも、簡素ですっきりとした美しさとなっている。 表面の色目も上品で、フラットアイアンビルと同様に、当時の石貼りのビルの優雅さを漂わせている。

上に挙げた1910年代のビルはどれも装飾が施されているけれど、 当時はいやしくも「建物」となる為には装飾が不可欠だった。 そう思われている時代だった。 それがアールデコやモダニズムを経て、また一方経済的条件がすっかり変って、 石貼りで装飾するなんて意匠的にあまり考えられないし、 第一経済的にも無理っぽくなってしまった。 そうなる前の「古き良き」ビルである。

それから、このビルは装飾が少なくすっきり見えて、それがすごく美点に思われる。 これはモダンなすっきりしたものに見慣れている現代人だからなのかも知れない。 もしかしたら、当時としては装飾を少なくして安く上げただけなのかも知れない。 仮にそうであったとしても、今見てこれだけ奇麗なビルは貴重である。見てよかった。 このビルがことのほか気に入ってしまった。 中に入るとオフィス帰りの人が沢山居たのだが、 現役のオフィスビルとしてバリバリに働いているという事も、とても感激してしまった。






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