チューダー・シティ
Tudor City (1925-28)



1925-28の赤レンガのチューダー・ゴシック様式の12の住宅
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誰が作ったのか、 41丁目イーストリバーに近い辺りにゴシック的な「ツノ」を何本も生やした一連の赤レンガのビルがある。 装飾、レリーフ、白い石との取り合わせ、そして尖塔と頂部の王冠、などなどが、 他から完全に区別できる特殊な建物の領域を形作っている (ステンドグラスもあったらしいが見られなかった)。 見に行った日が晴れていたせいか、穏やかな表情に見えた。 場所は 国連本部ビル の前なので、変な取り合わせではある(写真2)。

何か、こう言うと失礼だが、街中でキッチュな小物に出会った時に、 脈絡が唐突だとシュールな気分を味わう事がある。 それと似た感じがしないでもなかった。 これが建った当時は、恐らくは ウールワースビル 以来の影響もあって、ゴシックを身にまとうのがデザイン的に面白く思えたのであろう。 しかし、新しい建物がどんどん建つNYに、そんな過去の流行の記憶など、もう余り残っていない。 そんな中で、昔なりの意匠を今でも誇らしげに示す過去から来たような建物がこれだけ並ぶと、 ある種のずれの感覚が生じてくるのであった。

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チューダーゴシック様式とは、チューダー王朝(1485-1558)時代の様式で、 英国ゴシックの末期でルネサンスとも関係があるらしい。 住宅の「チューダー様式」と言えばおなじみのハーフティンバー (白壁に木組みの構造が浮き出た意匠)の一種である。

チューダーシティはツノが生えているからゴシックだと言われれば、 「そうですね」としか言い様がないのだが、 チューダーゴシック様式の細かい特徴についてはよく分からなかった。 そもそも、四角いビルにちょっと装飾が施してあるだけで 「何とか様式だ」と言われてもあまりピンと来るものではない。 装飾や赤レンガに対する窓の石の使い方などが、当時の様式の或る特徴を表現している、という事だろう。






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