フェデラル・ホール国立記念館(旧税関)
Federal Hall National Memorial (1833-1842)
by タウン&デイヴィス (Ithiel Town & Alexander J. Davis)


当時はやっていたギリシャ復興様式
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ここの名前に「旧税関」と付いているが、「旧税関」はロウアーマンハッタンに2つあるので、 混同せぬよう注意されたい。 これと 旧合衆国税関 である。 GreatBuildingsOnline では、 この建物(フェデラル・ホール国立記念館)を "US Custom House" と称してしていたが、 このHPでは、キャス・ギルバート設計の 旧合衆国税関 を "US Custom House" と言っている。これはもっと南西にあるボザール様式の建物である。 ややこしいので注意されたい。

このフェデラル・ホール国立記念館は、ウォール街にあって、 当時はやっていたギリシア復興にもとづく古代ギリシア様式の建物である。 この場所は元々1789年にワシントンの大統領就任演説が行われた場所であり、 その為に建物の正面にワシントンの彫像がある。 当時ニューヨークは一時的に米国の首都であったが、その後、 政治の中心と経済の中心を分けるという方針によって首都はワシントンとなった。

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ギリシア復興と言うと、ドイツのヴァルハラ(1830-42)が有名である。 この流れは古代ギリシアの原型をそのまま復興しようとするロマン主義的傾向を持つ運動で、 18世紀の新古典主義から続いた流れの一つである。 イギリスでも当時、ナショナル・モニュメント(1822-)が計画されるなどこの流れがはやっていた。 そんな"旧母国"の風潮を反映してか、1833に計画されたこの市の税関はギリシア復興様式となった。 正面ファサードはパルテノン神殿の短手方向を模倣したものであるが、かなり簡素化していて、 アーキトレーヴ(柱の上の水平部分の下側)には何の装飾もない。

ちなみに19世紀にNYに建てられた建物は、 当時ヨーロッパで流行った様式を反映してスタイルがいろいろと変わっている。 シティーホール はジョージアン(+フレンチルネサンス)だし、 トリニティ教会 はゴシックリバイバルの初期の例である。

中に入ると全然古代ギリシアと関係ない巨大ドームになっているそうだ。 中も入ればよかったけれど、時間がなくて割愛してしまった。






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