メトロポリタンクラブ
Metropolitan Club (1891-94)
by マッキム・ミード&ホワイト (McKim, Mead, and White)


洗練されたしぶい古典様式。中庭入口の荘重さ。堂々たるパラッツォ。外壁には2種類の白大理石
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メトロポリタンクラブは、 マッキム・ミード&ホワイトの作品の中では モーガンライブラリ と同様に、美的に見てしぶい部類に属する。 ヴィラード邸 も含め、これらはマッキムの意匠が勝った建物だと思う。 すっきりした印象で、すっきりした美しさである。

四角い建物に四角い窓、一見大した工夫もしてなさそうに見えるが、 窓のふちの僅かな装飾が実はすごく凝っていて奇麗だったりして、 そういうのがすごく効いている。 窓の装飾は優雅である。 外壁の白大理石に2種類使われているそうだが、おそらく一層目と二層目より上で変えている。 行ったとき丁度雨だったのだが、 一層目の石肌は、ちょっと雨で汚れていて深みと歴史を想わせる感じがした。 二層目より上の石肌は、石の白さとか純粋さを想わせる感じがした。

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建物の東端にある中庭入口は、オーダーによる重々しい門構えである。 その奥にある母屋の凹型のカーブが効いていて、 門構えと合わせて見事に荘重なエントランスを演出している。 しかも面白いというかちょっと変なのは、このエントランスの向かって右の壁を見て欲しい(写真4)。 右隣は恐らく別の建物だ。つまりよその建物の壁を、 この同じ白大理石で貼らせてもらっているのだ。

そうしないとこれだけ美しいエントランスは不可能だ。 建物を作ると決まった当初から、隣の家主と交渉したんだろうか。 これは帰ってきて写真を整理しているときに気づいた事なので、 現場で詳しく調べることは出来なかったが、 とにかく右隣のファサードはメトロポリタンクラブとは何の関係もない作りをしているので、 きっと別の家主の別の建物だ(それにしては入口が見えないが・・)。 ちょっと不可解ではある。

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ちなみにメトロポリタンクラブは階高が大きい。 一方 ユニバーシティ・クラブ では、3層の表現で中味は6層にして、 階高を通常のビルと変わらないくらい低く抑えている。 よく似た箱形の建物だがそういう違いがある。






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[参考]
  • 「アメリカ様式建築の華」小林克弘著、丸善


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