ラケットテニスクラブ
Racket Tennis Club (1916-1919)
by マッキム・ミード&ホワイト (McKim, Mead, and White)


イタリアンルネサンスリバイバル様式ではあるが、他のマッキム・ミード&ホワイトのクラブ建築などとかなり異質
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この建物は シーグラムビル の向いにあり レヴァーハウス の隣にある。 アスレチッククラブであるが、 他のマッキム・ミード&ホワイトの作品でアスレチッククラブというのは知らない。 この建物は ニューヨーク市庁舎 が竣工した年に着工しており、 ホワイトもマッキムも亡くなってから受注・計画されたものである。 他のマッキム・ミード&ホワイトの作品と比べると、石の肌合いの扱いが全然違っている。 石の角をみな丸くし、色もうす茶色っぽくて、遠目で見ると素朴と言うか、 わざと古ぼけた味を出そうとしているかの如くである。

これはフィレンツェ風ルネサンスのパラッツォだといわれ、 1Fとピアノ・ノビレ(主階=2F)がはっきり区別され2Fが強調されている。 しかし同じルネサンスとは言っても、整然として厳格さを漂わせるルネサンススタイルを作り続けた マッキム・ミード&ホワイトのイメージからはかなり遠のいた気がする。 初期ルネサンス建築はフィレンツェやミラノで育ち、パラッツォという住宅形式 を産み出した。ルネサンスはローマで盛期を迎え、ブラマンテがパラッツォ・カプリーニ(1501現存せず) でルスティカ仕上げ(1階を粗面のこぶ出し仕上げとする)を作って、後代のラッファエロやパラーディオ に大きな影響を与えたという。ラケットテニスクラブはまさに1階が粗面のこぶ出し仕上げである。しかし、 2階3階も石が粗面だから、ペルッツィのパラッツォ・マッシモ(1536)などに近いかもしれず、 そうだとしたらルネサンスの後にくるマニエリスムが入っている。 だから何となく不安定で、整然としたイメージから遠いのだ。

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とにかく設計者はマッキムでもホワイトでもないから、ミードあるいは事務所の若手であろう。 このデザインは事務所の担当者のアイデアなのか、施主の好みなのか?。 このクラブは富裕なショーヴィニストと呼ばれる愛国主義者のクラブだそうで、 スカッシュとあと、ルイ14世時代の古式テニスのコートを持っているそうだ。

残念ながら、この建物に関してはその位しか分からない。 ただ、この場所、パークアヴェニュー沿いのモダニズムのビルに囲まれて、 かなり個性的な雰囲気を発散させている建物である。 正面がシーグラムビルだという取り合わせも面白い。






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[参考]
  • "AIA GUIDE TO NEW YORK CITY", Three Rivers Press, 2000


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