ウォールドルフ・アストリア・ホテル Waldorf-Astoria Hotel (1931) by シュルツ&ウィーバー (Schultze & Weaver)
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いやはや大きなホテルである。 プラザホテル (1907)だって立派だけど、 このビルはちょっとやそっと離れても全体像が見えない位大きい。 だってブロックを占有してるんだもの。 という訳でもっと全体が良く見える写真は撮りそびれてしまった。 とにかく全体像としては、てっぺんに左右2つの塔があって、全体は左右対称で左右のウィングが 大きく張りだしている。
「錯乱のニューヨーク」によると、中央の棟はレジデント(長期滞在者)用だそうだ。 ここのレジデントになるというのは、ステイタスという意味でも、 社交界と接触するチャンスを得るという意味でも、とても有利な事らしい。 入口から中央に向けて、レジデント専用のエレベータ室があった。 しかしそれ以外は中央棟との繋がりは見えなかった。 とにかく中に入るとホールが連続している。 その様子を写真で少しでも見ていただきたい。但し露出が足りなくてキタナイが・・。
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このホテルは敷地の両端の地下を、鉄道・地下鉄に食われ、 サービススペースを地下に充分とれなかった。 そのぶん、2Fに厨房があったりして、建物全体のサービス動線がかなり複雑だという事である。
外装は近くで見るとそんなに凝ってない。 遠目で見たその姿は如何にも<マンハッタン>と呼ぶに相応しい。 これが、いわゆる1916のゾーニング法が結果的に作り出したフォルムのひとつなのだ。 ここには ロックフェラーセンター と共通する形態上の特質がある。 それは、デザイン上の「マンハッタンのエキス」とでも呼ぶべきものを、 ロックフェラーセンターとこのビルが分け持っているからである。 それは「錯乱のニューヨーク」の主題となっているものでもあった。
このホテルの前身は現 エンパイア・ステートビル の敷地にあって、 NY初のレジデンシャルホテル(長期滞在者を見込んだホテル)だった。 レジデンシャルホテルはマンハッタンの究極の居住単位だとコールハースは言う。 同本によれば、究極の居住単位であるこのホテル機能が、 1ブロックまるまる使った孤立した摩天楼として実現するとき、 このホテルは最大限の経済効率を手に入れる。 それと同時に、 このホテルのプログラムは、ゾーニング法にそもそも含まれていたメタファーであるところの 「メガ・ヴィレッジという単一体としての摩天楼」と一致する。
同本によればマンハッタン摩天楼はその巨大さからモニュメント性を獲得していると同時に、 中味が何であれ同じ形態規則に従っていて同じに見える。 つまり、中で行われていることが外観に反映しないのだ。 これを建築的ロボトミーと呼んでいる。 ウォールドルフ・アストリアの姿は、建築的ロボトミーにより内容を明かさない。
要するに独立した巨大な塊であり、塊であることだけが表面に出ていて、 その中では究極のマンハッタンライフが展開している。 「錯乱のニューヨーク」の言いたい摩天楼のアイデアルな姿を説明するのに際し、 このホテルは、極めて都合の良い《真の》摩天楼なのである。
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このホテルの頂部には東西2つの塔が立っている。 頂部の姿は如何にもこのビル独特で、 建替え以前から持っていた、このホテルのアイデンティティをしっかり示している。 塔のデザイン(写真7)は、当時のアールデコがかったマンハッタニズムとでも言うべきものであろう。
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